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ブックログは年間120冊の本を読む僕が、面白かった本や皆さんに読んでほしいと思った本を紹介するブログです。
今回紹介するのは、逢坂冬馬さんの「同志少女よ、敵を撃て」です。
この本は第二次世界大戦のドイツ対ソ連の実話を基に作られています。
内容としてフィクションですが、登場人物の中には実在していただろうと言われる人物も出てきます。
テーマについては戦争です。
小説を読む前に
・独ソ戦または東部戦線とは、第二次世界大戦中の1941年から1945年にかけて、ナチス・ドイツを中心とする枢軸国とソビエト連邦との間で戦われた戦争を指します。
・赤軍(せきぐん)とは旧ソ連の正規の陸軍のことです。
赤軍のことをずっとあかぐんと読んでました。笑
このへんの説明がなかったので、知っておくと読みやすいと思います。
本屋さんに立ち寄るたびにこの本がオススメされていました。
初めて見たときは本の分厚さに驚き、この量を読むのは少しきついかなと敬遠していました。
それでもかなり話題になっていたので、意を決して読んでみると、面白すぎてすぐに読み終えてしまいました。
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本の分厚さからとっつきにくいと感じてしまう人もいるかもしれませんが、実際に読んでみるとすごく面白いので大丈夫です。
続編があったら読みたいと感じるほどでした。
ストーリー
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。
急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。
自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。
「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。
母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。
同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。
おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?
同志少女よ、敵を撃ての見どころ
本のタイトルにもなっている「敵」とは誰なのか。
ドイツ兵か、母を殺したドイツの狙撃手か、物語の最初と最後で「敵」の捉え方が変化していきます。
そんな物語に注目です。
感想
「セラフィマは、本当に全然ためらわずに動物を撃てるの?辛くならないの?」
p92
中略
もしも誰かやらなかったら、生活が成り立たない。
村も、この国も、その食卓もそう。
つまり、誰かがそれを殺す。
殺す必要がある。
誰が、いつ、どうやって殺したかなんて、だれも気にしない。
・・・だから、私たちが殺した殺したことにはならない。
狙撃兵としての訓練を受けていた頃、生き物を実際に射撃するというものがありました。
牛を撃つことができない同期の狙撃手にセラフィマがこのように説いていました。
このセリフは戦争において敵兵を撃つ理由とも繋がっていきます。
「セラフィマ、私ね、イリーナ教官長がいなかったら死んでたと思う。
p110
だからいつか、教官みたいになりたいんだ。
だれも怖がらず、何にも媚びず、怯えず、自分の道を生きるの」
読んでいてすごく共感しました。
僕自身、人間関係が煩わしいと感じることが多く、自分の道を生きたいと思っています。
そういった環境で過ごすことが出来るようになりたいと、改めて感じた一文でした。
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職場でも怖がらず媚びずに仕事が出来る人には自然と信頼が集まっているような気がします。
十二月十日。
昨日からなにも食べておらず、コーヒーしか口にしていない。
まったく絶望的だ。
ああ、この状況がいつまで続くのだろう。
ここには負傷兵もいる。
彼らを移送することもできない。
私たちは包囲されている。ドイツ兵の日記より
p197
各章の始まりには、度々こういった手紙や日記の内容が紹介されています。
実際の戦場にいたらこういう雰囲気なのかなと、リアルさを感じることが出来ます。
それならば、その予測地点を狙える位置に、と言い返しかけてセラフィマはやめた。
p252
演習でも体験したが、この種の読み合いには終わりがない。
浅い読みによって敗れることもあれば、深読みのしすぎが浅い読みに裏を掻かれ敗れることもある。
「狙撃兵は自分の物語を持つ。誰もが・・・そして相手の物語を理解した者が勝つ。」
狙撃手同士の読み合いは奥が深いですね。
どんなに優秀な狙撃手でも、相手の力量を見誤れば殺されてしまうという緊張感が読んでいて伝わってきました。
こういうリアルな戦闘シーンが読んでいてすごく惹き込まれます。
その瞬間、電撃に撃たれたような感覚がセラフィマを貫いた。
p262
当たる。次に撃つ彼の弾は、私に当たる。
そして、次に私が放つ弾丸は確実に当たる。
「来い」
セラフィマは呟くと同時に引き金を絞った。
熟練の狙撃兵は殺気を敏感に感じること出来るそうです。
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僕も不機嫌な上司を敏感に察知してそういう人とは出来るだけ接触を避けたいと思います。
迷いなく敵を殺すのだ。
p442
だが私はお前のようにはならない。
お前のように卑怯には振る舞わない。
私は、私の信じる人道の上に立つ。
同志少女よ、敵を撃て。
本のタイトルにもなっている「敵」とは誰なのか。
ドイツ兵か、母を殺したドイツの狙撃手か、物語の最初と最後で「敵」の定義が変化していきます。
気になる方は是非実際に読んでみてください。
最後に
戦争をテーマにした小説を初めて読みました。
小説では戦闘シーンの描写というのは難しいらしく、それでも緊張感やリアルさが伝わってくる作品でした。
僕が最初そうだったように、本の分厚さから読むのを躊躇っている人もいるのかなと思います。
実際に読んでみると続きがあったら読みたいと思えるほど面白い内容でした。
気になっている方は是非読んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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それでは。