みなさんこんにちは。
フリーのwebクリエイターとして活動している、本好きエンジニアのけいです。
ブックログは年間100冊以上の本を読む僕が、面白かった本や皆さんに読んでほしいと思った本を紹介するブログです。
今回については、『地雷グリコ』という本の内容について紹介していきます。
小説の概要
頬白(ほおじろ)高校に通う射守矢真兎(いもりや・まと)は勝負事に強い女子高生。
文化祭の屋上使用権を賭けて、罠の仕掛けられた階段を上ったり(「地雷グリコ」)、
かるた部の窮地を救うため、百人一首の札を用いる神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。
風変わりなゲームに巻き込まれ続ける彼女の運命と勝負の行方は――?
ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇!
感想
物語の始まりとしては、高校生の主人公射守矢真兎(いもりや・まと)のクラスが文化祭で行う出し物で『カレー屋を開きたい』ということから始まります。
ただ、カレーは校内で作ると、色々なところににおいがついてしまうため、屋上でなければ出し物として認めることはできないということでした。
屋上はもともと他のクラスでも人気のスポットで文化祭の日にだけ解放される屋上はそれだけ特別感があり、場所的にも目立つ場所にあるので、集客としても最高の場所であることから、色々なクラスが屋上の使用権をめぐって勝負をしていきます。
この時勝敗を決めるのに行われた方法というのが、ギャンブルのようなゲームになっており、クラスの代表者がゲームを行い、勝った方のクラスが屋上を使用できるようになります。
ですが、ここ最近で屋上の使用権を獲得していたのはずっと生徒会の方々で、決勝の勝負についても、生徒会vs射守矢真兎(いもりや・まと)の勝負になっていくという展開です。
生徒会との勝負がきっかけで色々な勝負に巻き込まれていくんですが、全部で5つのパートに分かれています。
面白かった点
この本を読んで秀逸だなと感じた点が、こういうギャンブル系の物語はルールがシンプルすぎると読者としては理解しやすいがつまらない展開になりがちで、逆にルールを複雑にすると、色々な展開が期待できて面白い分、読者が置いてけぼりになるっていうのがよくあります。
しかし、地雷グリコで出てくるゲームというのが、みなさんが小さいころから馴染みのあるゲームに読みあいの要素を追加したものになっています。
どういうことかというと、例えば、みなさん『グリコ』というゲームは知ってますか??
階段とかでじゃんけんをして
・グーで買ったら「グリコ」
・チョキで勝ったら「チョコレート」
・パーで勝ったら「パイナップル」
と文字数分の3・6段、階段を上がっていくゲームです。
最終的に一番上の段に早く着いた人が勝ちというゲームで、みなさんも小さいころに一度は聞いたことがあるような馴染みのあるゲームだと思います。
地雷グリコでは、そういうみんなが知っているようなゲームで『グリコ』や『トランプの神経衰弱』、もっと簡単なものだと『じゃんけん』など、そういう勝負のルールに新しいルールを追加して、読みあいの要素を入れていきます。
もともと馴染のあるゲームなのでルールを知っているし、そこに新しいルールを追加することで、読みあいの要素を追加し、思考の深いゲームになっていきます。
読者としても読み込まないとわからないようなルールにはなっていないので、物語に入り込みやすいんです!
この作り方が個人的にはすごく面白いなと感じました。
ゲームの内容をもっと深堀
もう少しだけゲーム内容について触れていくと、最初に紹介した『グリコ』で追加された新しいルールというのが、階段の段数は全部で45段あり、移動する階段の先に地雷を置くことができるんですよね。
この地雷は、置いた本人とゲームの審判だけが知っていて、自分は相手の置いた地雷がどこにあるかは分かりません。
自分が置いた地雷を相手プレイヤーが踏むと相手は階段を10段下がることになります。
逆に、自分が置いた地雷を自分が踏むと10段下がるペナルティは発生しませんが、相手に地雷の位置がばれてしまいます。
じゃんけんで勝った場合進める段数というのは
・グーだと3段
・チョキ・パーだと6段
進むので、基本的には3の倍数の段に地雷を置くことで相手にペナルティを与える可能性が高くなります。
しかし、例えば12段目で地雷を踏んだ場合10段下がって2段目からのスタートになるので、3の倍数がずれていくんですよね。
1度地雷を踏んだ場合次に相手が踏むの可能性のある段数は、2,5,8,11,14と一段ズレてしまいます。
相手にいかに多くの地雷を踏ませることができるのかという読みあいと、逆に自分が自分の地雷を踏んだ場合、ペナルティはないけど相手に地雷の位置がばれてしまうんですよね。
例えば、6段目に地雷を置いていたとして、自分がチョキかパーでじゃんけんに勝ったとします。
相手に地雷の位置がばれてしまうので、一見すると自分が不利のように見えますが、6段目に地雷があると分かった場合、相手は地雷を避けるためチョキかパーを出しづらくなりますよね。
可能であれば地雷は極力避けたいのでグーで勝って3段あがってから、次はチョキかパーで勝って地雷を避けていきたいところです。
相手の性格を読んでどこに地雷があるか予測したり、どういう風に地雷を置くかなどなど。
ただの運勝負だった『グリコ』というゲームが読みあいのゲームになっていきます。
僕の説明だけだと、ちょっと分かりづらかったかもしれないんですが、小説だともっと分かりやすく解説されているので安心してください!
全部で5つのパートに分かれていて、それぞれの新しいルールが登場するんですが、こんな感じで馴染のあるゲームが新しいルールの追加で、深い読みあいのゲームとなっています。